企業 株式会社ラッシュジャパン
ジャンル メーカー
従業員数 1,900名

英国発化粧品ブランド「Lush(ラッシュ)」の日本法人ラッシュジャパンは2016年、原発事故の風評被害に苦しむ福島県南相馬市の菜種油を使用した石けんを発売しました。チェルノブイリの菜の花栽培を参考にしたものです。

ラッシュは1994年の創業以来、「ナチュラル」(自然)「フレッシュ」(新鮮)「ハンドメイド」(手作り)にこだわり、動物実験を行わないなど、エシカルな(倫理的)商品づくりを続けてきました。

2011年3月に発生した東日本大震災および福島第一原子力発電所事故を受けて、ラッシュジャパンは「Regenerative(再生)」をテーマに、事業を通じた社会課題の解決に取り組んでいます。

東日本大震災発生以来、福島県内の多くの農家は、塩害で農作物を育てることが難しくなったり、原発事故による風評被害が原因で、安全性が確認された米や野菜を栽培しても購入されにくくなったりするなど、困難な状況にありました。

そうしたなか、有機米農家ら有志によって一般社団法人南相馬農地再生協議会(福島県南相馬市)が発足され、同協議会は放射能で汚染された南相馬の農地を菜の花で浄化し、農業を再生する「菜の花プロジェクト」を立ち上げました。

南相馬の菜の花畑

菜の花を栽培すると、土壌からセシウムを吸収しますが、菜の花から搾取した菜種油にはセシウムは混入しません。土壌の除染と放射性物質に汚染されていない菜種油の収穫の双方が可能となる画期的な方法です。

そこで、ラッシュジャパンは、英国本社に掛け合い、同協議会が栽培、搾油した菜種油「油菜ちゃん」を石けん素地として使用した商品開発に取り組みました。

「つながるオモイ」ソープ

2016年3月11日には、オメガ3・6脂肪酸を豊富に含んだソープアイテム「つながるオモイ」の商品化に成功。数量限定で全国展開しました。その後、2017年3月11日には世界48の国・地域で定番商品としての販売が実現しました。こうしたラッシュの取り組みは、土壌の再生につながるだけでなく、南相馬のコミュニティーの再生にも貢献しています。

2018年3月には、社会課題の解決を起点にしたビジネスモデルを表彰する第2回「グリーン・オーシャン大賞」(主催・株式会社オルタナ/一般社団法人CSR経営者フォーラム、後援・環境省)大賞を受賞しました。