企業が今、取り組むべきSDGsについて「アウトサイドイン」という
アプローチをまずは知っていただきたいです。
「アウトサイドイン」が社会課題解決、そして企業の成長につながります。

企業とSDGs

SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、国連加盟193か国が2016年~2030年の15年間で達成する行動計画です。2015年9月の国連サミットで採択され、2030年に向けた17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲット、232の指標で構成されています。

 株式会社電通が2018年から実施している日本全国の10-70代の男女を対象とした「SDGsに関する生活者調査」の、第5回目となる2022年4月27日にリリースされました。
[出典:電通 Team SDGs第5回「SDGsに関する生活者意識調査」2022.4.27]
調査結果によると、SDGs認知率は86.0%で前年1月の54.2%から26%伸長しており、2018年2月実施の第1回調査から約6倍となっています。


図表1:SDGsの認知率(時系列)
※第1回14.8%・第2回16.0%・第3回29.1%・第4回54.2%

 「内容まで理解している」という回答は、前回調査(2021年1月)から約11.5倍にあたる34.2%へと伸長。10代は初めて過半数を超えています。

図表2:SDGsの認知率(性年代別・前回調査比較)

図表4:内容理解(全体・年代別・前回調査比較)

 SDGsを認知している人のなかで、実践意欲が高い層は36.9%。この層へ訴求するには、具体的な事実やSDGsとの関連を示す情報を提供し、理解・共感を獲得することが必要で、メディアでの話題性とともに第三者評価の重要性も明らかになっています。

図表9:実践意欲が高い層(職業別構成比)

図表11:SDGsに関する商品やサービスに期待すること(差分上位順)

 SDGsの実践意欲が高い層のなかでも、「Z世代 ※1」はジェンダー平等への関心が高く、SDGs関連イベントへの参加意向や関連商品・サービスの消費意向も高いことが読み取れます。また、インフルエンサーや広告の影響を受け、SNSや家族・友人との会話で情報が共有されています。

図表13:実践アクション(差分上位順)

 生活者は、積極的にSDGsに取り組む企業に好印象を持つだけでなく、その企業が提供する商品やサービスへの利用意向も高まることが示唆されました。

図表16:積極的にSDGsに取り組む企業のイメージ(回答上位順)

図表17:SDGsに取り組む企業の商品・サービス利用意向(SDGsに関する取り組み実践者と全体の比較)

 就業者のうち、自社のSDGsに関する取り組みを認知している人は33.6%。取り組みを認知している社員は、「取り組んでいることを世の中や人に伝えたいと思った(19.1%)」「将来性を感じた(16.3%)」などポジティブな感想の割合が61.8%であった。30代男性では「誇りに感じた(21.7%)」、「働き続けたいと思った(21.1%)」「仕事に対するモチベーションがあがった(20.7%)」などが高かったという結果となっています。【図表18・19・20】

図表18:自社のSDGsに関する取り組みの認知

図表19:自社のSDGsに関する取り組みを知った感想

図表20:自社のSDGsに関する取り組みを知った感想(内訳)

企業がSDGsを取り入れるには
どのようにしたら良いか

ビジネスを成功させようと思えば、タイムマシンにのって未来に生き、未来で何が起きているか見れば良い。映画やSFの世界ではたまに取り上げられる題材です。この空想の世界の産物だった未来を見るためのヒントが私達の身近に存在します。それがSDGsなのです。
SDGsは未来地図。という話をしましたが、SDGsで示される169のターゲットには、「このままで行くと2030年には地球はこうなっている」という危機的予測を「人類の活動でこの持続可能な水準までもっていこう」という意思が込められています。

SDGsのゴールに自分たちの事業や活動がどのように寄与できるか考え、取り入れていくことは、自分たちの事業活動に社会や人類、地球環境の後押しを受けるということです。トヨタ自動車は1990年代の後半にプリウスを産み出し、世界でもまれに見るヒット商品となりました。世界がこれから直面する環境問題にいち早く対応した結果です。日立製作所はリーマン・ショックを機に見事なV字回復を成し遂げましたが、これは1,000近くあった子会社の事業を「近づける事業と遠ざける事業」の名のもとに再編成を行い、自らのビジネスドメインを社会課題を解決するソーシャル・イノベーション事業と定義することによって成し遂げたものです。

世界が抱える課題を直視し、その解決を事業を通じて行う。それによって人類全体が望む未来を創り出し、企業も発展を遂げる。企業がSDGsの考え方を取り入れる利点はここにあります。

1977年~2006年まで国連事務総長を務められたコフィー・アナン氏は1999年世界経済フォーラムの年次総会「ダボス会議」で世界の経営者にこう呼びかけました。
「平和の維持や発展途上国への援助など、国連の日々の活動は、世界中でビジネスの機会を広げるのに役立っています。そして極めて率直に言うと、皆さん(世界の経営者)が持つノウハウや資源なしでは国連の行動目標の多くは実現が困難なのです」(オルタナ編集長・森 摂氏 意訳)

そして、翌2000年7月に「国連グローバル・コンパクト」を発足させました。これは国連が直接企業と接点を持ち、国連と企業が対話する場を設けた画期的な活動と言われています。 同年9月には国連ミレニアムサミットで、SDGsの前身となるMDGs(ミレニアム開発目標)を国連全加盟国で採択し、2015年までに国際社会が達成すべき8つのゴールと21のターゲットを掲げました。

地球と人類が抱える大きくて複雑な問題に対処するためには、すべての企業が何らかの形でSDGsの考え方を事業活動に取り入れていくことが求められています。

2022年のいま、企業が
取り組むべき
アプローチ
「アウトサイドイン」

「アウトサイド・イン(Outside-in)とは、2015年9月に国連総会で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の、SDGs導入における企業の行動指針「SDG Compass」(2016年3月に作成)に記載されている公式のビジネス用語です。 この場合、アウトとは「社会」を、インは企業や組織を意味します。これまでのビジネスアプローチでは、企業が自社の製品・サービスの強みを生かしてマーケットを開拓する「プロダクト・アウト(Product-Out)」や、市場のニーズに合わせて製品・サービスを開発する「マーケット・イン(Market-In)」が主流でした。
アウトサイド・イン」は、この「マーケット・イン」のベクトルを伸ばすことで、お客さまのすぐ後ろにいる「社会のニーズ」に応えようというものです。つまり「社会課題の解決を起点にしたビジネス創出」を意味します。

実は「SDG Compass」に記述された「アウトサイド・イン」は、気候変動などの分野で、企業が科学に基づく目標設定を指していましたが、その後、「社会課題の解決を起点にしたビジネス創出」の意義が注目されるようになりました。

具体的に、SDG Compass ステップ3「目標を設定する」の文中には次のように記されています。

― 各企業の目標に関する意欲度を設定するにあたり、現在および過去の業績を分析し、今後の動向と道筋を予測し、同業他社を基準に評価するのが、これまでの企業のあり方であった。しかし、そのような目標の一体的な影響では、グローバルな社会的、環境的な課題に十分に対処することはできない。(中略)このプロセスにおいては、様々な課題が存在するものの、SDGsに連動した目標設置に対する様々な「アウトサイド・イン」のアプローチは、今後、持続可能性における企業のリーダーシップを規定していく一つの要因となるだろう。―

「アウトサイド・イン」アプローチが、
「サステナブル」な未来を築く

・20世紀後半、最も影響力のあった経済学者の一人であるミルトン・フリードマンは、1970年に、ニューヨーク・タイムズ紙の寄稿文に示した言葉、「自由主義経済体制の下でのビジネスの社会的責任は一つしかない。それは利潤を増やすことだ」。

・これは多くの人々に支持され、過去半世紀のビジネスと投資のベースになってきました。この考え方は一般的に株主価値最大化理論と呼ばれています。

・一方、世界経済フォーラムの創設者、クラウス・シュワブ氏は1971年、著書「機械工学分野の最新企業経営」で、「企業は株主だけでなく、すべての利害関係者、すなわちステークホルダーのために、長期的成長と繁栄を実現する使命があると説き、このステークホルダー尊重主義を推進するために同年、「世界経済フォーラム」(ダボス会議)を設立しています。

・1999年1月、ダボス会議で、当時の国連事務総長コフィ・アナン氏は国連と民間企業との「グローバルコンパクト」を提唱。『世界共通の理念と市場の力を結びつける道を探りましょう。 『民間企業のもつ創造力を結集し、弱い立場にある人々の願いや未来世代の必要に応えていこうではありませんか。』 (1999年1月、世界経済フォーラムにおいて)と呼びかけています。

・2000年9月、「国連ミレニアムサミット」で、「MDGs」が採択されました。2015年までに国際社会が達成すべき8つのゴールと21のターゲットを掲げ、国連全加盟国で採択しています。これは、1990年代に様々な国際会議で採択された種々の国際目標を統合したものと言われています。

・天然資源の枯渇化、環境汚染の進行、地球温暖化問題が表面化し、気候変動に関する政府間機構・「IPCC」(1988)が設立し、1990年には「第1次評価報告書」を発表し、「人為起源の温室効果ガスがこのまま大気中に排出され続ければ、生態系や人類に重大な影響を及ぼす気候変化が生じる恐れがある」と警告しています。

・1992年ブラジル・リオデジャネイロで「国連気候変動枠組条約」を採択して、地球温暖化対策に世界全体で取り組んでいくことに合意。1995年その1回目として、気候変動枠組条約締約国会議・「COP1」が開かれ、2022年には「COP26」開催に至っています。

・2006年4月、国連責任投資原則「PRI」発足。PRIとは、国連環境計画の金融イニシアティブと、国連グローバル・コンパクトのパートナーシップによる投資家イニシアティブのことで、ESG(環境・社会・ガバナンス)に関係する課題と金融業界との関係に注目し、安定的で持続可能な金融システム構築を目指している。署名機関には6つの原則へのコミットメントを求め、年次報告という厳しい義務を課しています。

・2008年9月、リーマン・ショックが発生。2011年、アメリカの経済学者、マイケル・ポーター教授が「共有価値の戦略」という論文で、CSV(共有価値創造)のコンセプトを確立。「経済価値を創造しながら社会的ニーズに対応することで社会的価値を創造する」と定義しています。

・2015年9月、国連総会で国連加盟の193か国すべてが賛同して「SDGs」を採択。2030年に向けて世界の進むべき方向性が明らかになりました。

・2015年9月、世界最大の機関投資家である、年金積立金管理運用独立行政法人(GRIF/厚生労働省所管の独立行政法人で、日本の公的年金のうち、厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行っている)が国連責任投資原則(PRI)に署名。投資家はESG投資を推進し、投資対象となる企業はSDGs達成を目指すことで投資を呼び込むというコンセプトを構築し、2018年からは「ESG活動報告」を始めています。

・2015年1月、ダボス会議で「プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)」がお披露目されました。


緑色のくさび部分は「安全な機能空間」を表す。この限界値を超えると、黄色の不確実性のある危険域に。さらに黄色の範囲を超えると、不可逆的変化が起こる危険性の高いオレンジ色のゾーンに入ります。

SDGsは、プラネタリー・バウンダリーの範囲内で世界の繁栄と包摂的な社会の達成を目指すすべての国のための世界で初めてのロード・マップです。

・2017年、「ドーナツ経済学が世界を救う」が発刊(著者:経済学者ケイト・ラワース)されました。従来の本とは一線を画し、現代における「経済学」そのものを現代社会の課題の観点から見直し、「経済学」の新たな形を提言しています。これまでの主流派の「経済学」と「経済学者」に正面からけんかを売った本との評価を得ています。

具体的には、「21世紀のコンパス」としてプラネタリー・バウンダリーをよりわかり易く「ドーナツ」の概念図に置き換えて発表されました。ドーナツの内側の輪(社会的な土台)は生活の基本となる部分で、誰一人としてこの部分が不足してはいけないこと。外側である環境的な上限の上では、生命を育む地球のシステムへの負荷が限度を超過していることが、以下の図から解ります。


以上から、現在の主流派の経済学では21世紀の問題を解決することはできないとしています。全く新しい経済モデル」として提唱され、「人類と地球のためのパラダイムシフト」というサブタイトルがついています。

・このような変遷のなか、2019年10月、「SDGsアウトサイドイン・ビジネスゲーム」をローンチし、国内全域に広めていこうとした矢先、COVID-19が起こり、ブレーキがかかりました。またたく間にパンデミックとなり、生活や働き方など、これまで通用してきたあらゆることに変化を迫られました。同時に根強い世界的課題に十分取り組めていないことが浮き彫りにされました。

・2021年のダボス会議のテーマは「グレートリセット」でしたが開催は見送られました。「世界がよりよくなるように、経済・社会・環境などに関する仕組みを一度リセットしよう」というものです。2022年のダボス会議は、「Working Together,Restoring Trust(信頼を取り戻すために一致協力を)」をテーマに、1月に開催される予定でしたがこれも延期、5月22~26日の日程でスイスで開催すると発表されています。対面での開催は約2年半ぶりで、コロナ禍からの景気回復や気候変動対策、働き方の未来、株主以外の利害関係者にも配慮する「ステークホルダー資本主義」などが議題となる予定とのことです。

・冒頭の電通、第5回「SDGsに関する生活者意識調査」を振り返ってみると、「SDGs認知率」は86.0%、「積極的にSDGsに取り組む企業は好感が持てる・応援したくなる」は35.2%、一方「自社のSDGsに関する取り組みの認知」は、次のような結果となっています。


「自社のSDGsに関する取り組みを知った感想」は、次の結果となっています。

・私たちは「SDGsアウトサイドイン・シリーズ」のコンセプトを、『エンターティメント・エデュケーション』と規定して、「SDGsアウトサイドイン・ビジネスゲーム」に続いて、第2弾「アウトサイドイン・グレートリセット版」、第3弾「アウトサイドイン・アースショット版」を開発しています。企業と、構成する一人ひとりがSDGsを積極的に推進する主体として存在できるよう、且つSDGsの「浸透・定着」を支援し、「ステークホルダー資本主義」の先にある地球ホロンに貢献していきます。

参考資料(1)/COP26
https://www.wwf.or.jp/activities/data/20211209climate01.pdf
参考資料(2)/IPCC報告
https://www.meti.go.jp/press/2022/04/20220404001/20220404001-1.pdf
参考資料(3)/グレートリセット
https://onpamall.com/article/AR2GMU46A65R