企業が今、取り組むべきSDGsについて「アウトサイドイン」という
アプローチをまずは知っていただきたいです。
「アウトサイドイン」が社会課題解決、そして企業の成長につながる時代に突入しています。

企業とSDGs

SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、国連加盟193か国が2016年~2030年の15年間で達成する行動計画です。2015年9月の国連サミットで採択され、2030年に向けた17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットで構成されています。

2019年に株式会社電通が行った日本全国の10-70代を対象にしたアンケートでは、SDGsの認知度は16.0%に達したという調査結果が出ています。『あるアイディアや流行もしくは社会的行動が、敷居を越えて一気に流れ出し、野火のように広がる劇的瞬間』をティッピング・ポイントと言います。

スタンフォード大学のエベレット・M・ロジャースによって提唱されたイノベーター理論は、新商品や新サービスに対する市場の反応を5つのタイプに分類しています。この理論によると、市場にイノベーターやアーリーアダプターと言われる早い段階から先進的にものご とにタッチする層は15%とされています。この視点から考えると日本でも認知度が15%を超えたというのは、2019年は早期の認知段階を超え一般に浸透していく象徴的なタイミング(=ティッピング・ポイントを超えた)と捉えることも出来ます。2019年は、日本で一気にSDGsの認知が広まり、様々な分野にSDGsの考え方が取り入れられていくタイミングと言うこともできるのではないでしょうか。

さて、SDGsの話に戻ります。SDGsの17のゴールを見てみると、例えば1-6番は、一見すると途上国の問題のように感じられます。しかし、日本でも相対的な貧困が社会問題となり、毎日のようにニュースに取り上げられるように、これら1-6番のテーマも日々身近な問題となっています。また、7-12番は東日本大震災を経験し、世界でもまれに見る急速な人口減に向き合う課題先進国、日本にとっては、政府(行政)・民間(企業)・個人様々な側面からの活動が求められる分野です。また、世界各地で最高気温が記録され、海や陸の環境も激変していますが、13-17番は地球全体に対しての課題が述べられています。
SDGsは持続可能な地球のために、人類が向き合わなければいけない課題を17の大きなテーマと169のターゲットによって示した、未来地図なのです。未来に対して、人類全体が取り組まなければいけない課題を示した羅針盤がSDGsとするならば、企業という存在がこのSDGsで示されたゴール達成に向けて果たすべき役割もまた大きなものであると言えます。過去100年の間に、地球上での人類の活動範囲が増大を続けているように、企業の果たす役割や影響範囲もまた増え続けています。企業はどのようにSDGsの達成に向けて貢献していくべきなのでしょうか。

企業がSDGsを取り入れるには
どのようにしたら良いか

ビジネスを成功させようと思えば、タイムマシンにのって未来に生き、未来で何が起きているか見れば良い。映画やSFの世界ではたまに取り上げられる題材です。この空想の世界の産物だった未来を見るためのヒントが私達の身近に存在します。それがSDGsなのです。
SDGsは未来地図。という話をしましたが、SDGsで示される169のターゲットには、「このままで行くと2030年には地球はこうなっている」という危機的予測を「人類の活動でこの持続可能な水準までもっていこう」という意思が込められています。

SDGsのゴールに自分たちの事業や活動がどのように寄与できるか考え、取り入れていくことは、自分たちの事業活動に社会や人類、地球環境の後押しを受けるということです。トヨタ自動車は1990年代の後半にプリウスを産み出し、世界でもまれに見るヒット商品となりました。世界がこれから直面する環境問題にいち早く対応した結果です。日立製作所はリーマン・ショックを機に見事なV字回復を成し遂げましたが、これは1,000近くあった子会社の事業を「近づける事業と遠ざける事業」の名のもとに再編成を行い、自らのビジネスドメインを社会課題を解決するソーシャル・イノベーション事業と定義することによって成し遂げたものです。世界が抱える課題を直視し、その解決を事業を通じて行う。それによって人類全体が望む未来を創り出し、企業も発展を遂げる。企業がSDGsの考え方を取り入れる利点はここにあります。

1977年~2006年まで国連事務総長を務められたコフィー・アナン氏は1999年のダボス会議で世界の経営者たちにこう呼びかけました。
「平和の維持や発展途上国への援助など、国連の日々の活動は、世界中でビジネスの機会を広げるのに役立っています。そして極めて率直に言うと、皆さん(世界の経営者)が持つノウハウや資源なしでは国連の行動目標の多くは実現が困難なのです」(オルタナ編集長・森 摂氏 意訳)

地球と人類が抱える大きくて複雑な問題に対処するために、すべての企業が何らかの形でSDGsの考え方を事業活動に取り入れていくことが求められています。

2019年のいま、企業が
取り組むべき
アプローチ
「アウトサイドイン」

アウトサイド・イン(Outside-In)とは、2015年9月に国連サミット採択されたSDGs(持続可能な開発目標)のビジネス指南書「SDGコンパス」にも記載されている公式のビジネス用語です。この場合、アウトとは「社会」を、インは企業や組織を意味します。これまでのビジネスアプローチでは、企業が自社の製品・サービスの強みを生かしてマーケットを開拓する「プロダクト・アウト(Product-Out)」や、市場のニーズに合わせて製品・サービスを開発する「マーケット・イン(Market-In)」が主流でした。
「アウトサイド・イン」は、この「マーケット・イン」のベクトルを伸ばすことで、顧客のすぐ後ろにいる「社会のニーズ」に応えようというものです。つまり「社会課題の解決を起点にしたビジネス創出」を意味します。実は「SDGコンパス」に記述された「アウトサイド・イン」は、気候変動などの分野で、企業が科学に基づく目標設定を指していましたが、その後、「社会課題の解決を起点にしたビジネス創出」の意義が注目されるようになりました。

「マーケット・イン」という言葉が日本で広がったのは1970年代ごろからで、すでに40年以上経っています。もはや市場の声を聞くだけでは他社との差別化もしにくくなりました。アウトサイド・インは、マーケット・インを進化させ、社会の声を聞くことで、企業にとっても独自のビジネスチャンスを創造できる手法であると期待されているのです。 ただ、アウトサイド・インは、これまでのビジネスとは全く違う「突拍子もないビジネス手法」ではありません。例えば、オムロンの創業者である立石一真氏は、早くから「顧客ニーズ」ではなく「社会ニーズ」という言葉を掲げました。

これは「ビジネスの種は社会にある」という考え方です。こうして「社会ニーズに応える」という考え方を社員に広めた結果、同社は鉄道駅の自動改札機や家庭用の血圧測定器を他社に先んじて開発できたのです。

松下電器(現パナソニック)創業時の「二股ソケット」もある意味で「アウトサイド・イン」と言えるでしょう。当時の家庭には壁にコンセントが無く、天井から下がる電球を抜かないと、アイロンや炊飯器などの家電製品が使えませんでした。

そこで、創業者の松下幸之助氏は「二股ソケット」を開発しました。これが爆発的に売れたことで同社の成長に大きく寄与しました。二股ソケットは「市場ニーズ」に応えたとも言えますが、その当時の社会・住宅インフラが未整備だったことを考えると、これもアウトサイド・インであると言えるでしょう。

アウトサイドインを
どのように学ぶか

アウトサイド・インの考えを学び、事業活動に活かしていきたいとお考えの方も多くいらっしゃることと思います。しかし、新しい考えは抵抗にさらされやすくもあります。スムーズにアウトサイド・インの考え方を学び、新事業を産み出したり、事業計画に活かしたりするには次のようなステップで組織全体が学んでいく必要があります。


  1. アウトサイド・インがもたらす事業機会を知る
  2. アウトサイド・インの実践事例を学ぶ
  3. アウトサイド・インの実践を阻害する、組織面の要因を知る
  4. アウトサイド・インの実践を阻害する、個人のメンタルモデルに関して知る
  5. アウトサイド・インの推進を支援するツールの使い方を学ぶ

1-2はアウトサイド・インの考え方がもたらす機会であり、3-4はアウトサイド・インを推進するにあたって起こり得るハードルです。可能性と阻害要因を知り、そこから初めてアウトサイド・インを実践するいくつかの補助ツールの使い方について学びます。

大切なことは、一人だけアウトサイド・インを実践しようとしても難しく、組織全体で学びを深めていく必要がある、ということです。組織全体で学びを深めていくにあたって、私達が株式会社オルタナの監修のもと作成した「SDGsアウトサイド・イン カードゲーム」は上記1-5のメッセージを伝えるのに効果的なツールですし、一度に60名まで同時にゲームを体験することが出来ます。

アウトサイド・インの考え方を組織全体に広める第一歩として、活用を是非ご検討ください。