企業が今、取り組むべきSDGsについて「アウトサイドイン」という
アプローチをまずは知っていただきたいです。
「アウトサイドイン」が社会課題解決、そして企業の成長につながります。

企業とSDGs

SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、国連加盟193か国が2016年~2030年の15年間で達成する行動計画です。2015年9月の国連サミットで採択され、2030年に向けた17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲット、232の指標で構成されています。

 株式会社電通が2018年から実施している日本全国の10-70代を対象とした「SDGsに関する生活者調査」の、第4回目となる2021年1月のアンケート結果によると、SDGs認知率は54.2%で前年1月の調査からほぼ倍増と関心が高まっています。
 年齢別でみると10代のSDGs認知率が7割を超え、職業別にみると学生(76.1%)、公務員(70.2%)、会社員(事務系)(64.3%)での認知率が高いことが分かりました。
 また、専業主婦(夫)のSDGs認知率は42.1%で、学校・職場以外の認知経路も拡大していることが示唆されました。
※第1回14.8%・第2回16.0%・第3回29.1%
 調査結果を詳細にみると、商品・サービスの利用意向や、就業者による「積極的にSDGsに取り組む企業は今後「社会からの信頼(68.0%)」、「社員の会社への愛着(45.6%)」「優秀な人材の確保(45.0%)」など、社員のエンゲージメントも高まる可能性が示されました。SDGsの浸透度が社会全般に広がっていることが伺えます。
「出典:第4回SDGsに関する生活者調査(電通 Team SDGs)」


図1 SDGs認知率(時系列)

図2 SDGs認知率(性年代別・前回調査比較)

図3 SDGs 認知率(職業別・前回調査比較)

図4 就業者におけるSDGsに積極的に取り組む企業のイメージ

図5「SDGs 活動を知るとその企業のイメージが良くなる」性年代別

企業がSDGsを取り入れるには
どのようにしたら良いか

ビジネスを成功させようと思えば、タイムマシンにのって未来に生き、未来で何が起きているか見れば良い。映画やSFの世界ではたまに取り上げられる題材です。この空想の世界の産物だった未来を見るためのヒントが私達の身近に存在します。それがSDGsなのです。
SDGsは未来地図。という話をしましたが、SDGsで示される169のターゲットには、「このままで行くと2030年には地球はこうなっている」という危機的予測を「人類の活動でこの持続可能な水準までもっていこう」という意思が込められています。

SDGsのゴールに自分たちの事業や活動がどのように寄与できるか考え、取り入れていくことは、自分たちの事業活動に社会や人類、地球環境の後押しを受けるということです。トヨタ自動車は1990年代の後半にプリウスを産み出し、世界でもまれに見るヒット商品となりました。世界がこれから直面する環境問題にいち早く対応した結果です。日立製作所はリーマン・ショックを機に見事なV字回復を成し遂げましたが、これは1,000近くあった子会社の事業を「近づける事業と遠ざける事業」の名のもとに再編成を行い、自らのビジネスドメインを社会課題を解決するソーシャル・イノベーション事業と定義することによって成し遂げたものです。世界が抱える課題を直視し、その解決を事業を通じて行う。それによって人類全体が望む未来を創り出し、企業も発展を遂げる。企業がSDGsの考え方を取り入れる利点はここにあります。

1977年~2006年まで国連事務総長を務められたコフィー・アナン氏は1999年世界経済フォーラムの年次総会「ダボス会議」で世界の経営者にこう呼びかけました。
「平和の維持や発展途上国への援助など、国連の日々の活動は、世界中でビジネスの機会を広げるのに役立っています。そして極めて率直に言うと、皆さん(世界の経営者)が持つノウハウや資源なしでは国連の行動目標の多くは実現が困難なのです」(オルタナ編集長・森 摂氏 意訳)

翌2000年7月に「国連グローバル・コンパクト」を発足しています。これは国連が直接企業と接点を持ち、国連と企業が対話する場を設けた画期的な活動と言われています。 同年9月には国連ミレニアムサミットで、SDGsの前身となるMDGs(ミレニアム開発目標)を国連全加盟国で採択し、2015年までに国際社会が達成すべき8つのゴールと21のターゲットを掲げました。

地球と人類が抱える大きくて複雑な問題に対処するために、すべての企業が何らかの形でSDGsの考え方を事業活動に取り入れていくことが求められています。

2021年のいま、企業が
取り組むべき
アプローチ
「アウトサイドイン」

「アウトサイド・イン(Outside-in)とは、2015年9月に国連総会で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の、SDGs導入における企業の行動指針「SDG Compass」(2016年3月に作成)に記載されている公式のビジネス用語です。 この場合、アウトとは「社会」を、インは企業や組織を意味します。これまでのビジネスアプローチでは、企業が自社の製品・サービスの強みを生かしてマーケットを開拓する「プロダクト・アウト(Product-Out)」や、市場のニーズに合わせて製品・サービスを開発する「マーケット・イン(Market-In)」が主流でした。
「アウトサイド・イン」は、この「マーケット・イン」のベクトルを伸ばすことで、顧客のすぐ後ろにいる「社会のニーズ」に応えようというものです。つまり「社会課題の解決を起点にしたビジネス創出」を意味します。実は「SDGコンパス」に記述された「アウトサイド・イン」は、気候変動などの分野で、企業が科学に基づく目標設定を指していましたが、その後、「社会課題の解決を起点にしたビジネス創出」の意義が注目されるようになりました。

具体的に、SDG Compass ステップ3「目標を設定する」の文中には次のように記されています。
― 各企業の目標に関する意欲度を設定するにあたり、現在および過去の業績を分析し、今後の動向と道筋を予測し、同業他社を基準に評価するのが、これまでの企業のあり方であった。しかし、そのような目標の一体的な影響では、グローバルな社会的、環境的な課題に十分に対処することはできない。(中略)このプロセスにおいては、様々な課題が存在するものの、SDGsに連動した目標設置に対する様々な「アウトサイド・イン」のアプローチは、今後、持続可能性における企業のリーダーシップを規定していく一つの要因となるだろう。―

2021年のいま、私たちは「脱炭素化」をはじめ、解決すべき様々な社会課題に囲まれて暮らしています。SDGsの認知度が54.2%と、2人に1人がSDGsを知っているといわれる中、求められているのは「行動」です。“どうしたらよいかわからない”というところにとどまっていることは許されません。

若者が考える2050年のありたい社会像とそこへのアプローチ「未来への羅針盤」というレポートがあります。(一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン:略称GCNJ/2021年6月)
 2050年を想像する未来と定め、その時代を担うミレニアル世代・Z世代にバックキャスティングで「人間軸」、「環境軸」の2軸で社会像・企業像を考えてもらったのです(公募:男性13名・女性14名)。
その議論から導き出されたのは、次の2点でした。 その内容を引用して紹介しましょう。

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(1) すべての人が質の高いウェルビーイングを実現する。
個人のウェルビーイングは自立した「個」が好きなことを見つけ、周りの人と共感してつながり生きられる姿を考える。個人が所属する組織は個人と社会のウェルビーイングを実現するための手段と考え、それぞれの組織は、存在意義(パーパス)として解決したい社会課題や目標を持ち、同じ課題の解決を目指す個人が集まる。組織の中では各人の多様性が認められ、すべての人が目指すものに向かって能力を最大限に発揮でき、価値を認められるプラットフォームが、ありたい組織の姿である。

(2) 環境パートナーシップの実現と環境資本主義の確立
2050年までに社会・経済のあり方を変革しない限り、「地球と共に滅ぶ社会」を迎えてしまう。「環境軸」からのあるべき姿は、人間活動が地球の環境容量を超えないプラネタリーバウンダリー内に収まっている状態である。そのためにはドラスティックな変革と指数関数的な変化が必要だが、1つの企業だけでは解決が困難であるから2050年には企業、政府、研究機関などが組織を超えて環境を含む社会課題の解決に取り組む「環境パートナーシップ」連携が広く行われている状態を目指す必要がある。
企業は経済第一主義から脱却し、環境を優先する事業活動を行なう必要がある。事業による負の影響を最小化することを前提に、さらに事業通じて、環境を含む社会課題の解決に貢献する企業こそが、価値ある企業だと考える。

図1 2050年のありたくない社会の姿

図2 2050年「人と地球の共生社会」への道筋

図3 社会像の変遷と2050年ありたい社会像
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いかがでしょうか。「環境パートナーシップ」のもと、「一人ひとりの価値を認め合う社会」が実現している2050年の世界が想像できるでしょうか。いまを生きる私たちの行動の一つひとつが2050年の姿を形づくることは間違いありません。
 どんどん変身するだろう社会の姿、企業のかたち。それぞれが「アウトサイドイン」思考で、バックキャスティングでありたい姿を描き、ワクワクしながら2030年のSDGs達成年に向かおうではありませんか。そして2050年へと確かに手渡していきましょう。

(2021年6月 未来への羅針盤 一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン)より

アウトサイドインを
どのように学ぶか

アウトサイド・インの考えを学び、事業活動に活かしていきたいとお考えの方も多くいらっしゃることと思います。しかし、新しい考えは抵抗にさらされやすくもあります。スムーズにアウトサイド・インの考え方を学び、新事業を産み出したり、事業計画に活かしたりするには次のようなステップで組織全体が学んでいく必要があります。


  1. アウトサイド・インがもたらす事業機会を知る
  2. アウトサイド・インの実践事例を学ぶ
  3. アウトサイド・インの実践を阻害する、組織面の要因を知る
  4. アウトサイド・インの実践を阻害する、個人のメンタルモデルに関して知る
  5. アウトサイド・インの推進を支援するツールの使い方を学ぶ

1-2はアウトサイド・インの考え方がもたらす機会であり、3-4はアウトサイド・インを推進するにあたって起こり得るハードルです。可能性と阻害要因を知り、そこから初めてアウトサイド・インを実践するいくつかの補助ツールの使い方について学びます。

大切なことは、一人だけアウトサイド・インを実践しようとしても難しく、組織全体で学びを深めていく必要がある、ということです。組織全体で学びを深めていくにあたって、私達が株式会社オルタナの監修のもと作成した「SDGsアウトサイド・イン カードゲーム」は上記1-5のメッセージを伝えるのに効果的なツールですし、一度に60名まで同時にゲームを体験することが出来ます。

アウトサイド・インの考え方を組織全体に広める第一歩として、活用を是非ご検討ください。