SDGsアウトサイドイン公認ファシリテーター 高 穂栞さん 「ダートコーヒー様」(本社/石川県金沢市)のSDGs導入支援【アウトサイドイン・アイ】

SDGsアウトサイドイン公認ファシリテーター 高 穂栞さん
「ダートコーヒー様」(本社/石川県金沢市)のSDGs導入支援

SDGsアウトサイドイン公認ファシリテーターとして、主に北陸近県で企業のSDGs導入支援に取り組む高穂栞(こう・まどか)さん。
ご自身が支援された実践例として「ダートコーヒー様」(本社/石川県金沢市、1945年創業)の取り組みを寄稿していただきました。
約1年(全8回の研修)をかけて、本社を中心とした県内の社員さんによるスタートから、zoom活用で全社員参加に広げ、テーマ設定から部署別実施計画書作成、そしてパーパス策定へと支援を進めています。


一杯のコーヒーから始まる、中小企業のSDGs実践

エキスパート・フラップ株式会社.
高 穂栞

企業がSDGsの実践をするということ
それは企業の規模を問わず「持続可能な企業」になるために無視できない要素だと考えます。
SDGsが発効され数年が経ち、最近では様々なところでロゴや取り組みを見かけるようになってきましたが、地方の中小企業がSDGsの本質的な考えの部分を意識して経営に取り入れる「実践」を行っているかというと、まだまだ数は少ないと感じています。

石川県金沢市に本社がある「ダートコーヒー株式会社」様はコーヒーの卸、小売りを営む中小企業です。代表の水上氏からSDGsを学び、企業に導入したいという相談を受け、およそ1年をかけて企業にSDGsの実践のサポートをさせて頂きました。

コーヒーとSDGsの関係
コーヒーは私たちの日常生活の中にあたりまえのように存在し、コンビニエンスストア、自動販売機、コーヒーショップなど、いつでもどこでも手軽に飲める飲み物の一つです。
しかしSDGsの視点でそのサプライチェーンを辿ると、生産者の貧困、ジェンダーの不平等、環境への影響など様々な課題が存在しており、日本ではそれらを知る機会があまりないのが現状です。
だからこそ、アウトサイドインのアプローチが重要な業種のひとつだと考えます。

「全社員」がSDGs視点で業務を見る
企業のSDGs実践は、従業員全員が自分ごととして捉えることが大前提です。基礎研修、ワークショップを通してSDGsの本質を学んだ上で、従業員一人ひとりがSDGsの視点で「自身の業務で既に取り組んでいること」「これから取り組んで行きたいこと」の棚卸しを行って頂きました。
それを基に、ダートコーヒー様として情報発信するテーマを「一杯のコーヒーが生み出す幸せの連鎖」と決め、関連するSDGsのゴールと併せて社内外への発信から始めました。
これは、コーヒーを通してお客様も、生産者も、環境も、そこに携わる従業員も幸せになれる連鎖の橋渡しとなる経営活動を行っていくという想いが込められています。

一人ひとりが具体的な行動へ
テーマが決まった後、さらにSDGsの理解を深めて具体的な行動へ繋げるため継続研修を全8回に渡り実施しました。
初回の研修は本社を中心とした県内の従業員さんが対象のリアル開催でしたが、Zoomを活用して他県にある支店の従業員さんも参加できる形式での開催となったことで、真に全社員で取り組むための研修となりました。

全8回の研修では次の2つを軸に展開しました。
1.SDGsの基礎知識、実践例
2.部署別の実践計画書の作成

1.は初回研修の振り返りやコーヒーとSDGsの関係は勿論、様々な視点からの講義やワークを実施。SDGsは環境問題や貧困に着目されることが多いですが、17のゴールにはありとあらゆるトピックスが含まれており、それらは他のゴールと影響し合っています。限られた時間ですべてを伝えるのは難しいですが、研修が8回もあるのをいいことに、社内のSDGsや、コミュニケーション、幸せなど、情報収集や準備が大変でしたが、様々なアプローチができたことで、SDGsの理解をより深めることができたのではないかと思います。
2.は文字通り具体的に何をするかの計画です。
部署別に現状の洗い出し、それを前提に何をするのか。KPIも含め具体的な手法を計画。従業員同士の意見交換からブラッシュアップを重ね、実践計画を作成して頂きました。
大事にしたのは「従業員視点」。従業員さん一人ひとりが実践する計画なので、私からはSDGsの視点でのアドバイスを少しだけさせて頂くだけに留めました。
また、研修の中でアウトサイドインの考え方
「どうやって自社の業務、強みを活かして社会課題の解決に貢献できるか」
を繰り返しお伝えしたことで、その考え方が反映された計画になったのではないかと考えます。
結果、研修期間中からステークホルダーへの発信ツールの作成、サスティナブルコーヒーのキャンペーン実施など、従業員さん主体による実践行動を見受けました。
今回長期間でSDGs実践のサポートさせて頂けたことで、参加された従業員みなさんのSDGs理解度が回を重ねるにつれて深まっていき、ポジティブに取り組もうと進化していく様子を見届ける事ができ、サポート側としても準備から実施まで非常に充実した機会となりました。

企業の存在意義とアウトサイドイン
企業はなぜそのサービスを提供するのか。なぜ存在しているのか。
現代の私たちは沢山のモノに満たされ、例えばコーヒー屋さんひとつとっても星の数ほどあります。
2000年代前半頃より「モノ消費」からフェアトレードやオーガニック等の社会性のある「コト消費」へとユーザーの意識が変化している今こそ、企業はSDGsの本質を意識しつつ自社の存在意義「なぜ提供する」のか?を発信していくことが、ステークホルダーとの価値共感となり、持続的な企業価値向上に繋がるのではないかと考えます。

ダートコーヒー株式会社様
コーヒー卸、小売り業   https://dartcoffee.co.jp/