【第31回】グローバルリスク報告書2021年版: 世界は長期的リスクへの対応に目覚めるべきである。【アウトサイドイン・アイ】

みなさま、こんにちは!アウトサイドイン運営事務局です!

アウトサイドイン・アイでは、皆様の

『SDGsってどんなことなんだろう?』

『SDGsのビジネスにおける具体的な活動、つまりアウトサイドインってどんなもの?』

といった疑問にお応えすべく、我々が注目したweb上の記事を皆様にお届けします!

今回は、世界経済フォーラム パブリック・エンゲージメント・リード 栃林直子氏

グローバルリスク報告書2021年版:世界は長期的リスクへの対応に目覚めるべきであるです!

2020年、世界は長期的なリスクとして過小評価していたパンデミック(広域感染症)によって壊滅的な影響を受けました。本日発表されたグローバルリスク報告書 2021年版によると、今やパンデミックは至近のリスクと位置付けられています。
新型コロナウイルスの感染拡大は、格差と社会的な分断を増長させており、3〜5年以内には経済へ打撃を、5〜10年先には地政学的な安定性を脆弱させると考えられます。
一方、環境への懸念は依然として向こう10年の間に、発生の可能性と影響度の点で、グローバルリスクの上位を占めています。
レポート全文はこちら。グローバル・リスク・イニシアティブの詳細はこちら。意見の発信などのタグは#risks21。

2021年1月19日、スイス、ジュネーブ – 15年前にグローバルリスク報告書が発行された当初から世界経済フォーラムはパンデミック(世界的大流行)の脅威について警鐘を鳴らし続けてきました。2020年に、パンデミックに対する準備の怠りと長期的リスクとして過小評価した結果を突き付けられました。新型コロナウイルスは何百何千万の人々の生活を脅かしたばかりでなく、長年続いてきた医療・経済・デジタルにおける格差は、更に悪化するものと考えられます。十億人の医療従事者、労働者、学生、特にパンデミック以前からすでに不利な立場にあったマイノリティは、復興によってもたらされる平等な新しい社会への道筋から外れ、抜け落ちてしまう恐れがあります。本日発表されたグローバルリスク報告書2021年版によると、こうした状況は、環境の劣化(悪化)などの長期的な課題に取り組む上で必要な国際協力を阻む危険性を孕んでいます。

技術力やデジタル技能に関しては、「持つ者」と「持たざる者」の格差が広がることで、社会的な結束が揺らぐリスクがあります。特に影響が及ぶのは世界の若者世代でしょう。なぜならば、この層はひとつの世代で2度の世界的な危機に直面しており、これからの10年で完全に機会を逃してしまう可能性があります。

新型コロナウイルスの感染拡大により財政、デジタルや風評などの圧力を受けることで、数多くの企業とその従業員が将来の市場で取り残される危険性があります。こうした潜在的な格差が、国家の社会的分断を悪化させる一方で、中規模国が国際社会のテーブルにつけない場合、地政学的展望の緊張と脆弱性が高まり、世界の復興を阻む要因にもなります。

繰り返しになりますが、環境リスクは影響度と発生の可能性という点において、これからの10年、最も深刻な問題になると思われます。社会的分断、先行きの見えない不透明感や不安感は、深刻化の一途をたどる地球環境に取り組む必要不可欠な国際協調の障害になるでしょう。

本報告書では初めて、世界に重大な脅威がもたらされると回答者が考える期間に応じてリスクを格付けしました。短期的な脅威(0〜2年)では、感染症、生活破綻(生活苦)、デジタル格差、若者の失望などを含め、生活と生計への懸念があります。中期的(3〜5年)には、資産バブルの崩壊、ITインフラの機能停止、物価の不安定化、債務危機など、経済的・技術的な連鎖リスクが世界を脅かすことになるという回答が見られましたが、問題が実体化するまでは数年かかると見られます。大量破壊兵器、国家の崩壊、生物多様性の喪失、技術の進歩による弊害など、生存に関わるリスク(5〜10年)が長期的な懸念として上位に位置付けられています。

「2020年、世界的なパンデミックのリスクが現実のものになりました。政府、企業、社会がパンデミックからの回復を試みる中、格差を減らし、健康・衛生状態を改善し、地球を保護しながら、集団的なレジリエンス(復元力)と衝撃に対応できる仕組みを強化する新たな経済・社会システムを早急に構築する必要があります。この課題に対応するため、来週のダボス・アジ ェンダでは、世界のリーダーたちによって、新たな状況で求められる原則、政策、パートナーシップを形成していくことになります」と、世界経済フォーラムの取締役、サーディア・ザヒディは述べています。

本報告書は、新型コロナウイルス感染拡大への対応を振り返り、世界的なレジリエンス(復元力)を高めるための教訓をまとめています。こうした教訓には、分析フレームワークの策定、リスクマネジメントの専門家の育成、明確で一貫性のあるコミュニケーションによる信頼の構築、新たなパートナーシップの創出などが含まれます。報告書にまとめられた主なリスクは、国、企業、国際社会が横断的なリスクに直面した場合、反応ではなく、行動を促す提言が添えられています。報告書の巻末には「フロンティア・リスク」の概要を掲載しています。磁気嵐などの地磁気異常、偶発戦争、ブレイン・マシン・インタフェース(BMI技術=脳情報)の活用など、専門家による予見から導き出された、影響力が高く、確率性の低い9件の事象を紹介したものです。

チューリッヒ・インシュアランス・グループのチーフ・リスク・オフィサーであるぺーター・ギガ―は次のように述べています。「デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速は、例えば、2025年までに1億もの新たな雇用を生み出すといった大きな恩恵をもたらします。しかしながら同時に、デジタル化によって約 8500万もの雇用が淘汰される可能性があります。そして成人の 60%が依然として基本的なデジタルスキルが欠落しているため、現状の格差が深まることがリスクだと言えるでしょう。気候変動への対応の失敗は、長期的なリスクとして存続します。気候リスクへのワクチンはありません。そのため、パンデミック後の復旧計画は、より良い復興を導くために持続可能な目標に沿った成長に焦点を当てなければならないのです」。

マーシュのコンチネンタル・ヨーロッパ統括リスクマネジメントリーダーであるキャロライナ・クリントは次のように述べています。「新型コロナウイルスによる経済的・社会的影響は、ワクチン接種開始後も組織が顧客や同僚と取るコミュニケーションに大きな影響を与えるでしょう。職場環境の変革に伴い、新たな脆弱性が露見しています。急速なデジタル化により、サイバーリスクに晒されることが急激に増加し、サプライチェーンの崩壊によりビジネスモデルが根本的に変化し、従業員の在宅勤務への移行に伴い深刻な健康問題が増加しています。未来の衝撃に対応するレジリエンス(復元力)を高めるには、すべての企業がリスク軽減 戦略を強化し、常に見直す必要があります」。

SKグループのソーシャル・バリュー・コミッティのプレジデントを務めるイ・ヒョンヒは次のように述べています。「2020年のパンデミックは、世界の経済や社会の根幹を揺るがすストレステストでした。システミック・ショックからのレジリエンス(復元力)を再構築するには、多額の資金、国際協力そして大きな社会的結束が求めらます。また、早期にデジタル化された国の経済は、2020年においては相対的に向上していることが認識されているため、レジリエンス(復元力)は世界的な接続性の継続的な拡大にも左右されるでしょう。しかしながら5GとAIの継続的な展開が成長のエンジンとして台頭してくるのであれば、早急にデジタルの隔たりを埋め、倫理的なリスクに対処しなければなりません」。

グローバルリスク報告書2021年版は、世界経済フォーラム・グローバルリスク諮問委員会の貴重な支援により制作されました。加えて、戦略パートナーてあるマーシュ・マクレナンならびに SKグループ、チューリッヒ・インシュランス・グループ、そして学術面のアドバイザーであるオックスフォードマーティン校(オックスフォード大学)、シンガポール国立大学およびウォートン校・リスクマネジメント&デシジョンプロセスセンター(ペンシルバニア大学)の協力をいただきました。

いかがでしたでしょうか?

ここではこうして気になった記事の配信をどんどん行っていきます!

是非、facebookやTwitterでシェアをお願いします!