【3月23日(木)オンライン開催:公認ファシリテーター養成講座実施レポート】

皆様こんにちは!
3月23日(木)に「SDGsアウトサイドイン」ビジネスゲーム、公認ファシリテーター養成講座を行いました。

社会課題を個人の想いから解決する
<「SDGsアウトサイドイン・ビジネスゲーム」公認ファシリテーター養成講座>
今回の養成講座は、電力、IT、教育業界の方々に受講いただきました!

ビジネスや教育など多種多様な視点からSDGsを考え、学びを共有する会となりました。
今回は、教育業界から参加されたAさんの感想を交えながらお伝えします!

講師は、運営事務局の渡辺さん、橋本さんです。
まずは「チェックイン」からスタート。「今の気分」や「今日の期待」「最近のニュース」などを共有しました。「チェックイン」は参加者同士の関係性を温めたり、心のモヤモヤを言葉で吐き出すことで場に集中できる効果があります。早速の参加者同士の場づくりとなりました。

養成講座の前半は、橋本さんから「SDGsアウトサイドイン」ビジネスゲームの制作背景やその効果についてお話がありました。このゲームは、すべての事業者に訪れる新たな事業機会について学ぶことができます。自社、自分自身が社会課題起点の新規事業創造を実現するために、どのような事ができるのかを知る機会を提供し、一歩を踏み出すことに繋げることが狙いです。

次に、SDGsアウトサイドインを理解するための知識です。
「世界人口推移のグラフ」「プラネタリー・バウンダリー」「エコロジカル・フットプリント」「アウトサイド・イン・アプローチ図」そして「ドーナツ経済学の図」で、社会課題をアウトサイドイン・アプローチで解決することの重要性を学んでいただきました。

Aさんから、「生徒のため、企業の取り組みが「SDGsウォッシュ」になっていないか会社選びの判断や、社会で活躍するための思考法としても活用することができる」との感想とともに、キャリア教育とSDGsの繋がりもお伝えいただきました。

アウトサイド・イン・アプローチ図

出典:株式会社オルタナ

後半は渡辺さんから、重要なパートである「振り返り」についての説明がありました。参加者の関心や背景から何を伝えるのか、どのような振り返りを準備するかや、説明スライドの内容について詳しく説明がありました。また、新規事業創造に不安や悩みを抱える人たちや組織に対して、自分たちの考え方自体が障壁となっている、例えば、「社内のリソースばかりに目を向けている」「個人の想いに目を向けない」など、新規事業創造を実現するために慎重になりすぎないことなど、組織のメンタルモデルに基づいて、行動につながる振り返りの在り方を学びました!

最後は、「強制発想マトリクス」です。これまで学んだ「アウトサイド・イン」アプローチと参加者の想いを掛け合わせ、社会課題を解決する事業を考えました。参加者の関心のある社会課題を特定し、SDGsのどのゴールが関係しているかを把握し、会社や自身のアセットと、事前に用意されたソリューションでどんな事業ができるか考えました。社会課題を「アウトサイド・イン」で解決する体験で、さらに学びが深まりました!

最後に参加者のAさんからの感想を紹介します。

「「プレイヤーカード」がどのように生かされるのか疑問でした。しかし、このゲームはSDGsについての知識的な理解というよりも、個人の想いを大事に推進・変革に重点を置いていることがわかりました。新規事業開発も社会課題の解決も個人の想いがなければできないと思いました。教育でも、社会で活躍するにもそうした姿勢で事業を捉えることは重要だと感じました。」

大変深い学びを共創できた養成講座となりました!

 

[アウトサイドイン講座 第3回]
SDG Compass ステップ2 優先課題を決定する

SDGsの企業行動指針「SDG Compass」では、ステップ2に「優先課題を決定する」を上げています。

 そして、「SDGsの17のゴール全てが各企業にとって等しく重要というわけではない。各目標に対して各企業が貢献できる程度や、各目標に付随するリスクや機会は、多くの要因に左右される。」と続けています。

 さらに、「SDGsに対して戦略的アプローチをとるのであれば、まずやるべきことは、バリューチェーン全般を通じて企業の事業活動がSDGsに及ぼしている、あるいは及ぼす可能性のある正および負の影響を把握することである。そうすることにより、正の影響を拡充する分野と、負の影響を低減もしくは回避できる分野を特定できるようになる」と導いています。

具体的には次の3つのステップで優先課題を決定する方法を示しています。

  • バリューチェーンをマッピングし、影響領域を特定する。
  • 指標を選択し、データを収集する。
  • 優先課題を決定する。

 

各ステップごとにポイントを抑えていきましょう。

➀ バリューチェーンをマッピングし、影響領域を特定する。

「影響の評価と優先課題を決定する出発点として、供給拠点・調達物流から生産・事業を経て製品の販売・使用・廃棄に至るバリューチェーン全体を考慮することを推奨する。」

とあります。

SDG Compassでは、バリューチェーンの構成要素として、「原材料」、「サプライヤー」「調達物流」、「操業」、「製品の使用」、「製品の廃棄」の7つの段階が例示されています。各々の段階に関与している事業者、組織などを特定していきます。

この特定を行ったら、次は各段階でのSDGsとの関わりを検討します。SDGsに対しては、その達成にプラスの貢献をする関わりもあればマイナスの影響を与える関わりも浮き彫りにされるかもしれません。プラスの貢献の場合はその貢献をさらに強化する取り組みが求められ、マイナスの影響を与えている場合はこれに対して検討することが求められます。

マッピングの段階では、自社の事業をリストアップし、SDGsのターゲットとどう関連していたか整理します。あるいは自社の需要項目が特定されている場合はその項目ごとにマッピングを行うことが望ましいと言えます。

※バリューチェーンという考え方は、マイケル・ポーター氏が1980年代に提唱したとされています。以降、世界中の経営・戦略・マーケティングに関わる人たちの必須のツールとして普及し、今も活用されています。似た言葉の概念に「サプライチェーン」があります。どちらも、取り扱う範囲は製品やサービスが消費者に届くまでであり、その点では同じです。根本的な違いはサプライチェーンが「誰が何(どの範囲を)どのように担うかを焦点とするのに対して、バリューチェーンは「どこにコストをかけ、どこで価値を生み出すべきか」に焦点をあてています。この視点を理解してバリューチェーンを分析することがポイントです。

SDG Compassでは、「マッピングにおいては、事業活動やバリューチェーンの他の区分がSDGsの達成度の低い地域にどれだけ近いかなど、背景状況を考慮することを推奨したい」、さらに「マッピングでは、外部のステークホルダーと協働し、SDGs全体に対して自社が現在与えている、または与える可能性のある影響に関する見解や関心も確認する。」と示し、内部及び外部のステークホルダーとの包摂的な協働を促しています。

 

➁ 指標を選択し、データを収集する。

SDG Compassでは、「影響が大きい領域をマッピングすることで、どこにSDGs実施のため

の取り組みを集中させるべきか知ることができる。大きな影響が期待できる領域について企業の活動とそれが持続可能な開発に与える影響の関係を適切に表す1つ以上の指標を設定し、達成度を経時的に把握できるようにする。」と示しています。
指標の設定には、「SDG Compass」のWebサイト(https://sdgcompass.org/)を活用し、すでにある指標もしくは、独自指標を策定する際のヒントを得ることができます。
SDG Compassでは、実例として下図の「ロジックモデル」を上げています。また、諸々の指標を紹介し、「データの収集については、購買又は販売のシステムから必要なデータを抽出するなど、原行の事業のシステムやプロセスを採用する方が、新たなプロセスを開発するより効率的であろう。」と薦めています。

さらに「既存のシステムで必要なデータが得られない場合、データの収集・収集の一般的な集約の方法としては報告システム(企業の事業及び又はサプライヤー)の導入、現地訪問、アンケート調査、フォーカスグループ調査、聞き取り調査がある」とし、「データの質や整合性を担保する対策を整備することが望ましい」とし、「内部検証および外部検証もデータの信頼性を高める」と記しています。

➂ 優先課題を決定する。

優先課題の決定にあたって、SDG Compassでは、「次の判断基準が有用である」と言っています。

「現在および将来的な負の影響の規模、強度及び可能性を検討し、その影響が主要ステークホルダーにとってどれほど重要か、ならびに資源効率化委より競争力強化の機会を検討する。さらなる考慮事項として、新しい規制、標準化、需要超過(原料、労働力)サプライチェーンの途絶、ステークホルダーからの圧力、または市場力学の経時的な変化などがある。そして、これらの負の影響が企業にとってコストやリスクになる可能性も検討する。」


「各企業がSDGs全体に対する現在または将来的な性の影響により成長する可能性や、その影響から利益を得る機会を評価する。具体的には、創意工夫やの機会、新しい製品やソリューションの開発の機会、新しい市場領域を開拓する機会などが考えられる。」

 

ステップ2「優先課題を決定する」は、地道で集中力を要する大変なステップですが、1つもおろそかにできないやりがいのある重要なステップであると言えます。

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「SDGsアウトサイドイン」ビジネスゲームでは、具体的に、社会課題起点の新規事業創出を体験し、現実へと学びを活かすことができます。また、公認ファシリテーターはその学びを最大化し、広く活用することができ、現実のビジネス・教育の場でも活かすことのできる存在です。ぜひあなたも、「SDGsアウトサイドイン」ビジネスゲームの公認ファシリテーターを目指してませんか!

<ご案内>

SDGsアウトサイドイン運営事務局主催の「養成講座」「体験ワークショップ」は毎月開催しております。ぜひご参加ください。

直近の開催情報は、下記のとおりです。

「SDGsアウトサイドイン」「ESG/SDGsグレートリセット」2つの体験ワークショップ
(上記をクリックして詳細をご覧いただけます)

・4月5日(水)13:00〜16:00

開催:オンライン

・4月27日(木)13:00〜16:00

開催:東京(※「SDGsアウトサイドイン」のみの開催となります)

・5月10日(水)13:00〜16:00
開催:オンライン
(※現在、当日のプログラムのリニューアル準備中のため、受付停止しております。
 お申込を希望される方は別途ご相談ください。)

「SDGsアウトサイドイン」「ESG/SDGsグレートリセット」公認ファシリテーター養成講座
(上記をクリックして詳細をご覧いただけます)

・3月23日・24日(木・金)10:00~17:00

開催:オンライン

・4月20日・21日(木・金)10:00~17:00

開催:オンライン

・5月25日・26日(木・金)10:00~17:00

開催:オンライン

・6月15日・16日(木・金)10:00~17:00

開催:オンライン