【第8回】CO2の削減目標、日本の「据え置き」に大ブーイング【アウトサイドイン・アイ】

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今回は、オルタナオンライン から

CO2の削減目標、日本の「据え置き」に大ブーイングです!

 


日本政府は3月30日、パリ協定における温室効果ガス国別削減目標(Nationally Determined Contribution: NDC)の引き上げを行わないことを発表した。日本のNDCを巡っては、機関投資家やNGO/NPOだけでなく、国内企業からも引き上げを求める声があった。世界的なコロナ禍の間隙を縫うような政府の決定に対して、内外から批判が相次いでいる。(オルタナS編集長=池田 真隆、編集部=堀 理雄)

「日本政府がNDCの引き上げを行わないという決定を下したことで、日本企業は再生可能エネルギーに関する事業をあきらめるか、その事業に打って出るために日本を出るかの二択を迫られる」――国連環境計画・金融イニシアティブの末吉竹二郎・特別顧問はそう予測する。

「欧米では政府、自治体、企業、NGOなどが連携してCO2の排出量0を目指している。日本のこの決定は、国際社会から『昔の国』と見られ、企業は温暖化への意識が低い、社会もそのことを許しているという印象を与えかねない」

国連環境計画・金融イニシアティブ 末吉竹二郎特別顧問

ちなみにEUは2030年に-40%(1990年比)、スイスは2030年に-50%(1990年比)、ノルウェーも2030年に-40%(1990年比)のNDCを表明している。

国際環境NGO 350.org Japanの横山隆美代表(元富士火災社長)も、「国連事務総長が呼びかけたように、国際協調すべき時なのに、日本はあえて『協力しません』と公言した。各国が経済成長と温暖化防止のバランスを取るために苦慮しているが、知りませんという日本の姿勢を真似する新興国も出てくるかもしれない」と語った。

350.org Japan 横山隆美代表

 

NDCの再提出について、NGOや企業から引き揚げを求める提言書を政府に出していた。しかし、そうした声を無視する形の政府決定に末吉氏は、「かつて京都議定書を採択し、環境分野で世界をリードしていた頃の面影はまったくない」と厳しく批判した。

NDCとは、気候変動枠組条約のもとで「パリ協定」(2015年)を批准した各国が正式に国連に登録するもので、いわば温室効果ガスにおける「各国政府の国際公約」だ。

日本が2015年7月に国連に提出したNDCは「2030年度に-26.0%(2013年度比、10億4200万t-CO2)」だった。それ自体が「気候対策に後ろ向き」と批判を浴びていたのにかかわらず、政府は今回、NDCを引き上げない決定をした。

末吉氏は、「日本は2014年に作ったエネルギー基本計画に縛られ過ぎている」と指摘する。この計画では、2030年までに再生可能エネルギーの比率を22~24%にすることを目指しているが、この6年の間に気候変動など社会・環境課題は激しく変化した。

「欧米諸国は気候変動にまつわる変化に機敏に対応していて、ドイツは2018年に再エネ比率40%を達成し、2030年には65%にする目標を持っている。ライバル企業が10年後に達成する数値の3分の1足らずの目標しかない持つ会社に誰が魅力を感じるだろうか」。

末吉氏は、政策は長期的視野に立って考えるべきものだと強調する。「今日の状況で実現が難しいからやらないというのは、違う。国のリソースをフル活用して、民間に動きを求める。前提として、10年は先を見越していなければいけない。政策なのだから」。

取材中、末吉氏は「最悪のタイミングで決断した」と再三繰り返した。「コロナで世界が危機的状況であり、国際協調の大切さが叫ばれ始めている。そんな中で、一国主義をかざして世界との協調を避ける方針を示したのは日本だけでなく、世界にとって極めて残念なことだ」と述べた。

NDC引き上げなしだと「3度」上昇

国連は2015年、気候変動を国際社会全体で抑制するため世界共通の目標を掲げた。それが先の「パリ協定」だ。世界の平均気温の上昇を「産業革命以前に比べて2度より低く保ち、1.5度に抑える努力をする」という長期的な目標を定めたのだ。

実は180カ国が批准したこの「国際アジェンダ」をもってしても、現在、各地で進行する「気候危機」には歯止めが効かない。日本でもこの数年、夏や秋に豪雨や台風で何百人もの死者を出したことは記憶に新しい。

化石燃料や原子力関連企業に投融資している銀行から、預金をダイベストメントすることを呼び掛ける350.orgの日本支部のメンバー

2018年10月にIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が発表した「1.5℃特別報告書」は、「現在各国が提出している2030年までの削減目標を足し合わせても、2100年までに約3度も気温が上昇する」と予測した。

地球の平均気温が3度上昇するとどうなるのか。『地球に住めなくなる日: 「気候崩壊」の避けられない真実』(NHK出版)の著者デイビッド・ウォレス・ウェルズ氏は著書で、「南ヨーロッパでは旱魃が慢性化し、森林火災で焼失する面積が地中海で2倍、アメリカで6倍以上になる」と予測する。4度上昇では、さらに壊滅的なシナリオが待ち構える。

デング熱感染者が、ラテンアメリカだけで800万人になり、地球規模の食料危機が毎年起き、河川の氾濫被害がインドで20倍、バングラデシュで30倍、イギリスで60倍に増え、複数の気象災害が1カ所で同時発生し、損害は世界全体で600兆ドルに達する――と予測している。

2020年が気候変動対策の転換機

パリ協定に参加する国には、温室効果ガスの排出削減について5年ごとにNDCを決め、国連気候変動枠組条約事務局に提出する決まりだ。2020年は、各国がNDCを再提出する初めての機会であった。

日本が定めた目標は2030年までに2013年度比で温室効果ガスを26%削減することだが、NGOなどの非国家セクターはNDCの再提出を好機にとらえ、政府に引き上げを求める提言書を出していた。

しかし、政府はこうした声には耳を傾けなかった。世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)は同日、「深く失望し、強い抗議の意を表明」する声明を発表した。世界に先駆けて「『目標を強化しなくてもよい』というメッセージ」を出すことになる今回の日本政府の姿勢は「国際社会で求められる脱炭素に向けてのリーダーシップとは真逆」だと厳しく批判した。

国際環境NGO 350.org Japanは、国連など国際社会の強い声をはじめ、国内の企業や自治体、NGOや若者団体などが目標引き上げを強く求める中で、「政府がこうした要望に全く耳を傾けず、透明性の高い議論のプロセスを欠いたまま、何の引き上げも行わずにNDCを再提出したことは極めて遺憾」とした。

日本は世界第5位の二酸化炭素排出国であり、一人当たりの排出量は中国やインドを大きく上回る。石炭火力発電所の建設計画を国内外で推進している。気候危機の解決に大きな責任があり、将来世代に大きなツケを残すことになる。


 

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