【本部主催】6月7日(水)開催:「SDGsアウトサイドイン」社員研修と養成講座のための学び2つの体験ワークショップ 実施レポート/アウトサイドイン講座 第6回「報告とコミュニケーションを行う」

皆様こんにちは!
6月7日(水)オンラインで、「SDGsアウトサイドイン」社員研修と養成講座のための学び2つの体験ワークショップを開催しました!

当日は、
①「SDGsアウトサイドイン」ビジネスゲーム
②「ESG/SDGsグレートリセット」シミュレーション
この2つを体験いただきました。

「SDGsアウトサイドイン」は、SDGsに企業が取組むため、国連が公式に発行した「SDG Compass」記載の社会課題解決の手法である「アウトサイド・イン・アプローチ」を体験できるビジネスゲームです。新事業創出をメインテーマとし、個人と企業が社会課題の解決に向き合うコンテンツです。

「ESG/SDGsグレートリセット」は、徹底的に経営体験を繰り返すことで、未来を想像するリーダーへと脳力開発する、経営シミュレーションです。日々の仕事の中で行う意思決定(判断)に、ESG/SDGsを実践することを体験できます。わかりやすく食肉加工業を例に、企画から販売まで、事業一連の流れ、つまり経営とESG/SDGs、仕事の関わりを学び、実際に応用できる意思決定力を養います。

本記事では、体験会で講師を務めたファシリテーターの渡辺徹(わたなべ・とおる)さんにインタビューし、当日の様子や受講者の得た学びについてお伝えします!

 

1.当日のワークショップの雰囲気や様子を教えてください。
今回は、研修会社、建設コンサルタント会社、総合卸業などの企業から、個人で研修業を営む方まで、業種、働き方も多様な方々にお集まりいただきました。

「SDGsアウトサイドイン」プレイ中の話となりますが、このゲームは、参加者同士の協力が必要です。ゲーム中、「アセット(企業の資産)」と「ソリューション(解決策)」のカードを使用して、「社会課題カード」にある課題を事業で解決するのですが、自身の持ち札だけではうまくいきません。そこで協力が必要ですが、活発な会話、やりとりや相談、時にはシェアするなど工夫し、次々に事業を創造されました。初対面ながら活発な交流で、社会課題を解決し、サステナビリティを実現する体験を行って頂けたと思います。よい雰囲気の体験会となりました。

 

2.参加者にはワークショップを通してどんなことを伝えられたか、教えてください。「SDGsアウトサイドイン」と「ESG/SDGsグレートリセット」それぞれで、SDGsやサステナビリティに関する重要なポイントをお伝えしました。「SDGsアウトサイドイン」では社会課題を理解することと、(ゲーム上での役割としての)他社他業種との関わり方が新規事業の成功とその売上に大きく関わることをお伝えしました。

「ESG/SDGsグレートリセット」では、企画から製造まで、一貫してサステナビリティを実現する意思決定を行います。ゲームながら、売上や株価はシビアに結果として現れます。どんな状況でもESG/SDGsの視点を体現し、日々の仕事にも必要な意思決定力とサステナビリティの繋がりをお伝えしました。
「SDGsアウトサイドイン」も「ESG/SDGsグレートリセット」も、そうしたポイントを理解した上で、実践することで深く腹落ちし、現実の取り組みにも活かせるようになることを、体験いただけたと思います。

 

3.ワークショップ中、参加者の様子はどうでしたか。
「SDGsアウトサイドイン」パートでは、ゲーム中に使用する「アセット」「ソリューション」「社会課題」「個人のWill(想い)」などのカードそれぞれが、重要な役割を持ちます。参加者同士でカードを共有することで、社会課題を解決し、事業の売上が立つ確率が上がります。そうしたことを考えながら、活発にコミュニケーションを取って学びを深められているのが印象的でした。
一方で、「ESG/SDGsグレートリセット」は、一人で学習を進めることのできるシミュレーションです。コツコツと意思決定を行い、ESG/SDGsの視点での意思決定が、高い株価や売上に繋がります。経営企画から販売まで一連の流れを組み立てたり、常にサステナブルな視点の実践・判断が必要です。参加者が集中して取組んでいたのが印象的でした。

 

4.参加者からの振返りではどんなことが上げられましたか。
「SDGsアウトサイドイン」では、「他社との関係性で社会課題が解決できること」とのコメントをいただきました。社会課題というあまり身近に感じられないことも、他社とコラボレーションすることで解決の糸口が見えやすくなる。そんな振り返りが挙げられました。
「ESG/SDGsグレートリセット」では、「自社の事業をサステナブルな視点で進めていく上で、社内の統治が難しい」というコメントをいただきました。社員という立場ではあまり意識しない部分ということかもしれません。サステナビリティ経営にとって大事な点に気づいて頂けました。

 

5.参加者にどのような学びや気づきをお伝えしましたか。
参加者には「社会課題を事業で解決する実践体験」「サステナビリティの実践体験」という学びをお伝えしました。ワークショップ終了後のアンケートでは、参加者からは「もっとワークをやりたかった」「個人もいいがチームでもやりたい」と寄せられ、「ワークショップ終了後も何度もチャレンジした」ともありました。短時間でも、何か重要な学びや気づきを感じ取って頂けたと思っています。

(※「ESG/SDGsグレートリセット」は体験会終了後も、その日中はプレイ可能)

知識を学ぶだけではなく、実際に体験して腹落ちし、日々の仕事や事業に生きる「SDGs/サステナビリティの実践」という、重要な学びを持って帰って頂きました。

 

【アウトサイドイン講座 第6回】
SDG Compass ステップ5 報告とコミュニケーションを行う

SDGsの企業行動指針「SDG Compass」の最終ステップ5は、「報告とコミュニケーションを行う」です。

企業の持続可能性に関する情報開示が求められています。
報告のステップは次の、2つの手順で進められます。それぞれ見ていきましょう。

①効果的な報告とコミュニケーションを行う
②SDGs達成度についてコミュニケーションを行う

①効果的な報告とコミュニケーションを行う
「持続可能な開発の課題への対策を企業の日常的な意思決定に組み込むための体制を整備することは、報告の意義と効果を高める上で不可欠である。」とし、続けて、

「単に主要ステークホルダーに対するコミュニケーション以上に、効果的な報告は、信頼を醸成し価値創造を促進する。」とあります。

報告とコミュニケーションのための情報開示の質は企業によってばらつきがあるものの、財務関係以外のデータや情報が事業の継続的な成功に果たす役割に対する認識と相まって、基準や規則の策定が、改善の中軸となっていると言っています。

SDGsやESGに関する情報開示には以下のような種類があります。

・国際統合報告フレームワーク…財務諸表と持続可能性関連の財務開示を関連付ける。
・SASB基準…企業と投資家をサステナビリティの財務的影響の視点で結びつける。
・GRI基準…「サステナビリティ」の概念を具体的な指標として可視化したもの。
・CDSBフレームワーク…企業の情報開示のうち、気候変動関連情報の開示枠組み。
・TCFD提言…気候関連の情報開示および、金融機関をどう行うか検討する。

SDG Compassにおいて、企業にとって報告とコミュニケーションは、「持続可能性に関する報告は当初、信頼の醸成と社会的評価の向上のための手段と位置付けられていた。しかし現在では、持続可能な意思決定プロセスを支援し、組織発展を促進し、達成度を向上させ、ステークホルダーと協働し、投資を呼び込む等のための戦略的なツールに変容している。」として、企業活動に戦略的な活用のできるツールとして評価されています。

効果的な報告やコミュニケーションを企業活動の戦略的なツールとして活用するために持続可能性の報告を行うにあたって、国際的に認識された基準を用いることが重要です。
例えば、GRIの包括的基準やCDPの課題別報告メカニズム、国連人権報告枠組みやCDSB(Climate Disclosure Standards Board)などの国際枠組みがあります。

具体的な枠組みや原則に則ることでより効果的な報告とコミュニケーションを図ることができ、SDG Compassには下記のように紹介されています。

「持続可能性に関する報告はここ20年の間に大きく変わってきており、いくつもの基本的な原則が生み出された。」とあり、その原則とは

  • ステークホルダーの包含(包摂性)
  • 持続可能性の文脈
  • マテリアリティ(重要性)
  • 網羅性
  • バランス
  • 比較可能性
  • 正確性
  • 適時性
  • 明瞭性
  • 信頼性

で、これらは企業が質の高い情報を作成する上で有益としています。

その中でも「持続可能性の文脈」の原則は、「持続可能性という幅広い文脈から、広範な持続可能な開発の条件や目標との関連で達成度に関する情報を提示することを企業に迫るものである。」として特に重要で実用性が高いとされています。

また、効果的な報告書とするため、マテリアリティ評価の可視化にはマトリックスを用いることを奨めています。

具体的な報告内容とその活用について、下記内容の表示を求めています。

  • そのSDGsが適合するとされた理由とその過程
    (例:SDGs優先課題の決定過程やステークホルダーとの協働を記述)
  • 適合するとされたSDGsに関する著しい正または負の影響
  • 適合するとされたSDGsに関する企業の目標とその達成に向けた進捗状況
  • SDGsに関する影響を管理し、組織横断的な統合による目標達成のための戦略と実践
    (例:方針、体制、デュー・ディリジェンスなどのプロセスを記述)

デュー・デリジェンスとは…投資を行うにあたって、投資対象となる企業や投資先の価値やリスクなどを調査することを指す。デューデリジェンスには、組織や財務活動の調査をするビジネス・デューデリジェンス、財務内容などからリスクを把握するファイナンス・デューデリジェンス、定款や登記事項などの法的なものをチェックするリーガル・デューデリジェンスなどがある。

SDGs達成度についてどのような報告とするかについて、SDG Compassの見解を見てみましょう。

  • SDGs達成度についてコミュニケーションを行う。

「各企業が設定したKPIをはじめとする指標は、報告のための適切な指標を選択する重要な前提となる。その指標以外にも、報告やコミュニケーションのためには追加的指標で補完するのもよい。」

「また、不利な立場に置かれた人々、社会的に疎外された人々や弱者に対する影響について報告できるようにするためには、社会経済的な基準を用いることが重要である。」と、適切な指標を用いた報告を求めています。

最後に「SDGsは経済・社会・環境の諸要素を統合し、連携して持続可能な開発をあらゆる側面で実現しようとするものである。したがって、企業は報告書等の中でこうした要素の関係性を認知し明確化することが有益である。ある分野における進展が別の分野における進展に貢献する様を説明することも有益かもしれない。」

とあります。

たくさんの企業が報告書を通じて連携することでSDGsの達成に近づくことができます。

「SDGsアウトサイドイン」ビジネスゲームでは、具体的に、SDGsの推進にも大きく関係する、社会課題起点の新規事業創出を体験し、現実へと学びを活かすことができます。
また、公認ファシリテーターはその学びを最大化し、広く活用することができ、現実のビジネス・教育の場でも活かすことのできる存在です。

ぜひあなたも、「SDGsアウトサイドイン」ビジネスゲームの公認ファシリテーターを目指してませんか!

<ご案内>
SDGsアウトサイドイン運営本部の「体験ワークショップ」は毎月開催しています。
ぜひご参加ください。

直近のワークショップ開催情報は下記のとおりです。

「SDGsアウトサイドイン」「ESG/SDGsグレートリセット」2つの体験ワークショップ
(上記をクリックして詳細をご覧いただけます)

・8月2日(木)13時30分〜16時30分
開催:オンライン(Zoom)

・9月7日(木)13時30分〜16時30分
開催:オンライン

皆様のご参加をお待ちしております!